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たかが、されど

  • まゆ
  • 2017年6月18日
  • 読了時間: 1分

 夫はどこへ行っても、どら焼きを見つけると必ず買った。半年で70カ所近く巡った道の駅、有名和菓子屋、デパート、仙台、東京、横浜、名古屋・・・。さすがに京都でもどら焼きを買った時に聞いた。「京都の名物も沢山買ったのに、何故どら焼きも買うの?」と。

 夫曰く、「志ぐさ(確かこう書いたと思う)のどら焼きが忘れられないのよ。」一関市にあったどら焼きだけ売っていたお店(今は営業してないが)。半年間だけ住んだ一関市でしょっちゅう食べていた。シンプルで清潔なお店の中央に大きな長方形の銅板があり、どら焼きの型が均等な間隔で丸く残っていた。店内はあんこと皮を焼く甘い香りで、焼きたてのどら焼きを抱えて帰るのは、とてもしあわせな気分だった。

 あんなに買ったのに、同じような味は見つけられなかった。

父の日、遺影の前に娘から送ってもらったどら焼きをお供えし、お相伴にあずかった。

 
 
 
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